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マストミス Praomys coucha

注: マストミスの維持は終了しました。

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マストミスはアフリカ原産で齧歯目ネズミ科ネズミ亜科に属し、ラッサ熱の病原体(ラッサウイルス)の自然宿主として知られています。このため、2003年11月より日本への輸入は全面禁止となっています。

実験動物としてのマストミスは、感染症、腫瘍、脂質代謝異常、毒性学などの研究に用いられており、また毛色変異など多様な遺伝的変異が見られるので、遺伝資源としても興味深い動物です。雌にも良く発達した前立腺があります。

当室では、近交系5系統を維持しており、胚凍結保存(1)、精子凍結保存(2)など、とくに繁殖生物学的な応用を目指した研究(3)を行っています。

マストミス飼育法

現在の飼育状況(2006年9月現在)

  • 温度:22-24°C
  • 湿度:40-60%
  • 照明時間:明期 5:00-19:00 14L10D
  • ケージ:W217×D374×H202 TPX製ラット1匹飼い用 (トキワ科学器械)
  • フタ:ステンレスワイヤ製落とし込み式
  • 給水:RO水を自由摂取 250mlTPX製給水ビンを使用 (トキワ科学器械)
  • 床敷き:ペパークリーン(日本SLC)
  • 給餌:マウス・ラット・ハムスター用特殊系繁殖用飼料 CMF 放射線滅菌済み(オリエンタル酵母) 自由摂取
  • ケージ交換:週1回 必要に応じて随時交換

マストミス飼育における留意点

  • 近交系として維持しているため、兄妹交配の1ペアと離乳までの子を飼育。
  • ケージ、床敷き、エサ等動物に触れるものはすべて滅菌して供給。
  • ケージ交換時は、ゴム手袋を消毒液に浸した後、水分を拭き取ってから動物の尾を持って移し替えている。
  • 出産前後は雌が過敏になり咬まれることがあるので、ケージ交換には注意を要する。
  • 必要な場合は、20cm程度の消毒したピンセットで、静かに移動する。出産後3日くらいはケージ交換を行わず、死亡した子だけを取り出すようにする。 ピンセットが入るだけで噛みつくなど攻撃するが、そのまま暫く待って落ち着かせることも必要である。
  • 出産4日から10日くらいまでは子がかたまっていることが多いので、床敷きごとすくい上げるようにして移動する。
  • 繁殖の良いものは5産くらいまで産むが、3産目以降は♀親が消耗してきて哺乳しなくなることもある。この場合は出産前に♂から離して単飼にすると、哺乳がうまくいくことが多い。
  • 離乳は23日前後で行う。
  • 子は6週齢までには雌雄を分ける。
  • 交配は8週齢を過ぎてから行う。
  • 雌雄を同居したときに激しくケンカするものは、時には大けがを負うことがあるので暫く観察して確認する。ケンカがひどいものはペアを組むことはできない。
  • 数産を得てある程度繁殖がうまくいったものでも、ケンカをして脱毛や、皮膚の脱落、腹膜裂傷による内臓の皮下飛びだし等が起こるので、観察が必須である。
  • 手による保定は4週くらいまでの小さなものならマウスに準じて可能であるが、他のものはエーテル麻酔下で行う必要がある。

参考文献

  1. Mochida K et al. (1998) Birth of pups by transfer of Mastomys (Praomys coucha) embryos cryopreserved by vitrification. Biol Reprod, 51 Suppl 1:180-181.
  2. 平田淳也 等 (2003)マストミス精子の凍結保存法の検討.第50回日本実験動物学会総会
  3. Mochida K et al. (2001) Development of reproductive biotechniques in mastomys. In: Miyamoto H, Manabe N (eds.), Reproductive Biotechnology. pp. 279-284. Hokuto Shobo, Kyoto, Japan.