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ノックアウト動物の作出

ノックアウト動物とは

いわゆるノックアウト動物とは、特定の遺伝子を破壊することによって得られ た、対象遺伝子を欠損する動物のことです。

ノックアウト動物を作出する技術は、全能性(すべての細胞に分化できる能力;すなわち個体全体を作る能力)を 持つ胚性幹細胞(ES細胞)の発見が契機となり、 従来通常の前核期胚遺伝子注入法では実質的に導入不可能な低率の遺伝子標的破壊を 大量処理可能なES細胞で行なうことによって導入し、 その後遺伝子組換えES細胞に由来する個体を作出することによって、 非常に低率におこる「外来導入DNAとゲノムとの相同組換えによる標的遺伝子破壊」を個体に導入可能となりました。

具体的には、標的遺伝子破壊を起こしたES細胞を選抜し、その細胞とマウス胚を用いてキメラ個体を作成し、 ES細胞に由来する生殖細胞を持つキメラ個体から数代(通常二世代)の交配によって 標的破壊遺伝子をホモで持つ個体(これがノックアウト個体)が作出されます。

しかし、現在上記方法が確実に可能なES細胞はマウスでしか得られておらず、 家畜等の分野では体細胞を用いた遺伝子標的破壊とクローン技術とを組み合わせた方法により ノックアウト動物がすでに作成されており、そちらが今後の主流となっていくことでしょう。

遺伝子ノックアウトによる疾患モデル動物の作成

ノックアウト動物は、新しい実験動物の開発、特に遺伝子欠損が原因の疾患 モデル動物の作出に非常に有効な技術であり、 我々の研究室では、その基礎となるES細胞の樹立の試みや(文献1)、 実際にノックアウト動物作出を行なっています。

例えば、1997年には遺伝性代謝疾患のリソソーム病の一つ、 GM1ガングリオシドーシス・モデルマウスの作出を報告しています (酸性β-galatosidase遺伝子のノックアウトマウス;文献2)。 現在も他研究室と共同して各種ノックアウト動物の作出を行なっています。

参考文献

  1. Suzuki et al.(1999) Effect of genetic background on establishment of mouse embryonic stem cells. Exp. Anim. 48(3): 213-216.
  2. Matsuda et al.(1997). β-Galactosidase deficient mouse as an animal model for GM1-gangliosidosis. Glycoconjugate Journal 14: 729-736.