マウス詳細データ: ELマウス

1954年国立予防衛生研究所の今泉ら（1）により、自然発症脳水腫マウスの研究中に見出されたアルビノのマウスである。抛り上げなどの体位変換刺激により容易に癲癇発作が惹起される。脳波などの研究から、ヒトの二次性全般化を伴う複雑部分発作（側頭葉癲癇）のモデルであると考えられている。かつてはElと表記されたが、現在は命名規約からELと大文字で表記することが推奨されている。ELマウスに関する総説としては、鈴木二郎のものが参考となる（3）。なお、繁殖に関しては、特に雄が比較的若齢で尿閉を呈することが多く、注意を要する。当研究室では、繁殖法の改良を行っており、傾斜ケージによる飼育が有効である。また、低蛋白飼料（CE-7, 日本クレア）が繁殖効率を高めることを示している（4）。

1. 今泉清，伊藤昭吾，沓掛源四郎，滝沢隆安，藤原公策，土川清(1959) マウスのてんかん様異常について，実験動物 8(1):6-10.
2. Imaizumi K, Nakano T (1964). Mutant stocks, strain El. Mouse News Letter 31:57.
3. 鈴木二郎(2003) 自然遺伝変異てんかんモデル−ELマウスを中心として, てんかん研究21巻2号pp115-145.
4. 高野 薫, 小浦美奈子, 野口洋子, 鈴木 治, 梶本健吾, 松田潤一郎 「低蛋白飼料投与によるELてんかんモデルマウスの繁殖効率の改善」，日本実験動物科学技術2008，仙台，2008年5月.